2022年2月5日土曜日

南海高野線 データイムダイヤ(2021年5月22日改正)

2022年2月6日 公開

▲下りダイヤ

▲上りダイヤ

■ダイヤ概要・路線概要

 南海高野線は難波~極楽橋の区間ですが、ここでは多くの列車の運転系統が区切られる難波~橋本間ならびに泉北高速線のみを扱います。
 南海高野線は日中60分サイクルのダイヤで構成されており、1時間あたり特急が1本、急行(一部快速急行)が2本、高野線系統の区間急行(難波~三日市町・林間田園都市)が2本、泉北高速線直通の区間急行(難波~和泉中央)が4本、泉北高速線直通の準急行が2本、高野線の各駅停車が4本、泉北高速線内完結の各駅停車が2本となっています。特急以外の種別は概ね30分サイクルで運転されつつ、特急が1時間毎(日中でも運転されていない時間帯あり)に挿入され、特急の前後の列車は待避パターンは変わらず発着時間が若干異なるというダイヤになっております。
 南海高野線は大阪のミナミの中心地である難波と和歌山県の橋本駅、そして高野山を結んでおり、都心と郊外・観光地をつなぐ路線となっています。中間駅には南海全駅の中でも本線と高野線で並走している難波・新今宮・天下茶屋に次いで乗降者数が多い堺東駅や三国ヶ丘駅を有している他、泉北高速線内の利用者も多く、高野線内でもコロナ前は3万人前後の乗降者数を誇っていた北野田・金剛・河内長野・中百舌鳥等があり、近郊区間では需要の高い路線ですが、その一方で金剛駅以南ではコロナ前から相当なペースで年々利用者数の減少が深刻な区間もあります。(乗降者数については南海ハンドブック参照)
 優等列車の停車駅設定についても南海高野線のひとつの特徴でもあり、JR阪和線との乗換駅でもあり南海線内第5位の乗降者数を誇る三国ヶ丘駅や泉北高速線と分岐し大阪メトロ御堂筋線との乗換駅であるとともに利用者数の多い中百舌鳥駅には準急行(この区間では実質各駅停車)と各駅停車しか停車しないことが挙げられます。賛否両論あるのでしょうが、三国ヶ丘駅や中百舌鳥駅でJRや御堂筋線に乗り換えるのではなく、あえてこれらの駅を優等列車が通過することで新今宮や難波まで乗り通したうえで乗り換えるよう促す意図があるようです。

■種別ごとの解説

 特急は1時間に1本運転されていますが、時間帯によっては設定されていないこともあります。下りでは、堺東駅で各駅停車と接続し、北野田駅でも各駅停車を追い抜きます。一方で上りでは、河内長野・白鷺・住吉東の各駅で各駅停車を追い抜きます。
 急行は概ね30分毎に運転されており、一部の列車は乗降者数が数百人程度と周辺の駅と比較しても極めて少ない千早口・天見・紀見峠の3駅を通過する快速急行として運転されます。(なお、同時間帯に区間急行も運転されているので、快速急行として運転した場合でもこの3駅の乗車機会は確保されています。) 上下線ともにすべての列車が堺東駅と北野田駅で各駅停車と接続します。
 高野線系統の区間急行は概ね30分毎に運転されており、運転区間は難波~林間田園都市(一部、三日市町)となっています。上下線ともに堺東駅では各駅停車と接続し、下りでは北野田駅からは各駅に停車し、先行する途中駅止まりの各駅停車からの接続を受けます。上りでは北野田駅まで各駅に停車し、北野田駅では各駅停車に乗り換えられるダイヤとなっています。また、上下線ともに途中待避がなく、全列車終着駅まで先着します。
 泉北高速線直通の区間急行(難波~和泉中央)は概ね15分毎に運転されており、上下線ともに堺東駅で各駅停車に接続します。中百舌鳥駅から泉北高速線に乗り入れますが、先述の通り分岐駅である中百舌鳥駅には停車しません。
 準急行は概ね30分毎に運転されており、上下線ともに住吉東駅で各駅停車を追い抜きます。堺東駅以南では各駅に停車し、利用者数が非常に多い三国ヶ丘駅や中百舌鳥駅の利便性を確保しています。また、昼間はすべての列車が泉北高速線に乗り入れています。
 各駅停車は難波~金剛・千代田・河内長野・三日市町間の運転で、下りは半数の列車が住吉東駅で準急行の待避を、すべての列車が堺東駅では優等列車2~3本の待ち合わせ、半数が北野田駅で急行と接続し、半数が終着駅で後続の区間急行に乗り換えられるダイヤとなっています。上りについても概ね同様で、半数が北野田駅で急行と接続し、すべての列車が堺東駅では優等列車2本の待ち合わせ、一部の列車が住吉東駅で特急または準急行の待避をしています。
 また、泉北高速線では上記の1時間あたり区間急行4本、準急行2本に加えて線内完結(中百舌鳥~和泉中央)の各駅停車が2本設定されています。各駅停車は中百舌鳥で南海高野線の各駅停車とも接続しておりますが、難波・新今宮・天下茶屋~泉北高速線の利用を考えた場合、堺東駅で泉北高速線直通の区間急行に追い抜かれるので、結局のところ使えない列車となっています。当然中百舌鳥駅で乗降する利用者や堺東駅あるいは橋本方面へ向かう利用者にとっては有効列車となるわけですが。

■まとめと感想

 南海高野線の優等列車は終着駅まで原則先着するとともに、堺東駅や北野田駅ではしっかりと緩急接続がとられている考えられたダイヤになっています。また、停車駅設定についても、利用者数だけでなく他社との競合も考えられており興味深いものになっております。
 2点気になる点(良し悪しではなく)を挙げさせてもらうと、1点目は前述しましたが泉北線内完結の各駅停車が難波・新今宮・天下茶屋利用者にとって有効列車として機能していないことです。解決策としては当然優等列車の中百舌鳥駅停車があるのでしょうが、実は上下線ともに難波~中百舌鳥間で続行運転している高野線急行と泉北線区間急行、高野線区間急行と泉北線区間急行の順序を入れ替えるだけで解決します。もし入れ替えた場合、下りでは泉北線区間急行の2分後に発車する高野線系統の急行または区間急行に乗車すれば、堺東・中百舌鳥で2度乗換えは必要ですが、泉北線各駅停車も利用することができますし、上りでも2度乗換えが必要ですが、後続の区間急行に乗車するよりも2分程度早く難波に到着できるようになります。
 2点目は難波~中百舌鳥間での高野線系統の急行または区間急行と泉北線系統の区間急行が続行運転している点です。現在はある程度利用者がいて、行先や乗車駅に応じて乗り分けてもらう方が都合がいいのでしょうが、デメリットとしては各駅停車の堺東での停車時間が長くなってしまうことと事業者目線では非効率であること(単純に難波~中百舌鳥までは橋本方面も泉北線方面も同じ列車に乗って中百舌鳥で乗り換えてもらう方が同区間での列車を削減できますから。)です。繰り返しになりますが、現時点では1列車に集約すると混雑してしまうのを避ける目的もあると思うので、続行運転はやめるべきとは毛頭思っていないですが、今後鉄道の利用者が減ってしまった場合、効率性が重視されてダイヤが変わってくるのかなと妄想しているだけです。