2022年2月4日金曜日

近鉄大阪線 データイムダイヤ(2021年7月3日改正)

2022年2月5日 公開

▲下りダイヤ


▲上りダイヤ

■ダイヤ概要

 近鉄大阪線のデータイムダイヤは60分サイクルで構成されており、大阪上本町駅を発着する列車は1時間あたり特急3本、急行3本、区間準急3本、普通5本となっております。近鉄大阪線のダイヤの特徴の一つとして遠近分離があり、大阪線では上本町・鶴橋・布施に次ぐ第4位の乗降者数を誇る近鉄八尾駅を急行が通過し、大和八木駅に次ぐ第6位の長瀬駅については普通しか停車しておりません。その他、河内山本駅も急行が布施駅を出て最初に停車する河内国分駅よりも利用者が多いです。(いずれも平成30年度実績、近鉄HPより) 都心から近い長瀬駅は普通に、やや近い八尾・河内山本駅は区間準急に、中~長距離の利用者は急行に、というように種別ごとに利用者を分散させつつ、優等列車に乗客が集中し過ぎないよう工夫がされています。また、都心から近い駅が乗降者数が多い傾向にあるため、普通の本数が比較的多く設定されています。
 特急は1時間に3本運転されていますが、それぞれ停車駅や運転区間が異なっており、1本は大阪難波~近鉄名古屋間を結び大阪市の鶴橋駅~三重県の津駅までノンストップのもの(以下、名阪甲特急)、1本は大阪難波~近鉄名古屋間という運転区間は同様ですが大和八木・名張にも停車するもの(以下、名阪乙特急)、残り1本は大阪難波~賢島間を結び名阪乙特急の停車駅に加えて大和高田・榛原・伊賀神戸・榊原温泉口にも停車するもの(以下、阪伊特急)の3種類が設定されています。なお、大阪線の列車は原則上本町駅発着となっていますが、特急は大阪上本町~鶴橋間は奈良線を走行し、難波まで乗り入れています。
 急行は毎時3本運転されており、大阪上本町~伊勢中川間(一部山田線直通)、大阪上本町~青山町間、大阪上本町~名張間が各1本運転されています。先述の通り、利用者の多い長瀬駅や近鉄八尾駅等は通過し、布施~河内国分間はノンストップである一方、利用者があまり多くない桜井~榊原温泉口間では各駅に停車し、普通としての役割も果たしています。
 区間準急は毎時3本運転されており、大阪上本町~大和朝倉間(下りは毎時1本が大阪上本町→五位堂)で運転されています。急行が通過する八尾・河内山本等の利便性を向上させるとともに、近鉄八尾以東では各駅に停車し、普通としての役割も果たしています。
 普通は大阪上本町発着の列車は5本運転されている他、名張~青山町間、東青山~伊勢中川間でもそれぞれ毎時1本運転されています。

■下りダイヤ

 特急は先述の通り名阪甲特急名阪乙特急阪伊特急が毎時1本ずつ運転されています。名阪乙特急は大和八木駅で区間準急大和朝倉行きに、名張駅では急行青山町行きとそれぞれ接続しており、阪伊特急は大和八木駅で区間準急大和朝倉行きに、名張駅では当駅始発の普通青山町行きにそれぞれ接続しています。
 急行は布施駅で青山町行きが特急の待避を、河内国分駅では2本が区間準急大和朝倉行きと接続し、残り1本は特急の待避をしています。ただし、河内国分駅で特急の待避をする急行については河内山本駅で追い抜いた普通大和朝倉行きに乗り継ぐことができます。また、伊勢中川行き急行は東青山駅で普通伊勢中川行き行きに接続しています。
 区間準急は1時間に大和朝倉行きが2本、五位堂行きが1本運転されており、前者は途中普通の追い抜きはありませんが、五位堂行きは弥刀駅で普通の追い抜いています。このため、上本町・鶴橋から八尾~高安間への有効本数が減少しているとともに、区間準急通過駅から高安以遠へ利用する場合も不便になっているので、弥刀駅で追い抜いている普通を高安駅まで逃がしてもいいのではないかと思います。(後続の特急の所要時間が1~2分延びてしまいそうですが。) なお、五位堂行きは終点で伊勢中川行き急行に、大和朝倉行きは終点で大和朝倉から各駅に停車する急行にそれぞれ乗り換えることができます。
 大阪上本町発の普通は高安行きが毎時4本、大和朝倉行きが毎時1本運転されており、上本町~河内山本間では待避がない列車が1本、1本待避がある列車が3本、3本待避(退避駅は1駅)がある列車が1本となっており、上本町・鶴橋~久宝寺口を利用する場合ほとんどの列車で待避が強いられることとなっております。また、高安行き4本の内3本は終点で各駅に停車する区間準急に、大和朝倉行きは終点で各駅に停車する急行にそれぞれ接続するダイヤとなっています。

■上りダイヤ

 特急は下りと同様に名阪甲特急名阪乙特急阪伊特急が毎時1本ずつ運転されています。名阪乙特急は名張駅で当駅始発の急行に接続し、大和八木駅では緩急接続はないものの先行する区間準急急行からの接続を受けるとともに、後続の大和朝倉発の区間準急に乗り継ぐことができます。阪伊特急は伊賀神戸で青山町発の普通名張行きに乗り継ぐことができ、名張駅では急行に接続します。大和八木駅では名阪乙特急と同様に緩急接続はないものの先行する区間準急急行からの接続を受けるとともに、後続の大和朝倉発の区間準急に乗り継ぐことができます。
 急行は伊勢中川発・青山町発・名張発の3本が運転されており、大和朝倉駅では当駅始発の区間準急に乗り継ぐことができ、五位堂駅では区間準急と緩急接続をしており、河内国分駅では2本が特急の待避をしています。
 区間準急は毎時3本の運転で、すべてが大和朝倉発です。五位堂駅ではすべて急行と接続し、高安駅では高安発または五位堂発の普通に乗り継ぐことができます。また、1本が布施駅で特急の待避をしています。
 大阪上本町行き普通は五位堂発が1本、高安発が4本運転されています。河内山本~上本町間で待避がない列車は2本設定されており、その他は1本待避が1本、2本待避(2駅で待避)が1本、3本待避(1駅で待避)が1本となっています。また、2本が区間準急の待避があるため、河内山本・八尾→鶴橋・上本町の利用をする有効本数が下りより少なくなっています。

■まとめ

 近鉄大阪線は遠近分離を積極的に行っているダイヤで、都心から近い駅については乗降者数が多くても急行区間準急が停車しない駅もあります。一方で、普通の本数が比較的多く乗車機会は郊外エリアよりも多く設定されている等工夫がみられるダイヤです。個人的には、上下線ともに普通が途中区間準急の待避があるものもあり、遠近分離の効果が少し薄まっている印象もある点がもったいないという感想をもっています。